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「雇用流動化」でなく「人材の活用」を考えた方が良いのでは?(日経ビジネス5月20日号より)

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家電のリストラが続く

家電業界で大規模なリストラが続いているようで。

日経ビジネスの特集になっているパナソニックはグループ全体で4万6千人、シャープは全体で8500人の削減だそうです。パナソニックで10%強、シャープで20%弱くらいの以上の人員減という感じでしょうか。

 

既に一回転職してしまったので、私の頭には終身雇用という概念は存在しないんですが、まだまだ大手企業を辞める/辞めさせられる、というのはショッキングなニュースなんだと思います。

 

 

雇用流動化で何を目指すのか? 

で、日経ビジネスの特集。前職の業界なので興味深くパラパラと読みましたが、結論として、「雇用流動化を促進すべき」なんだそうです。要するに、働く人は他社でも通用する能力を身につけ、企業は積極的にそういう人材を育成し中途で採用をするべし、という話。

 

うーん、、、

 

この議論はどうもしっくりこない。

 

確かに終身雇用はもう持たない雇用慣例だと思いますが、その対応として雇用流動化を促進しなくてはならない理由がよくわかりません。

 

個人の心構えとして雇用流動化時代に備えるというのは判ります。今の世の中、個人として自立していないと危ない。会社は雇用を守ってくれると考えて、自分の成長に役に立たない仕事であってもしばらく我慢してやる(で、そのうちやりたいことが出来る部署や担当に変われると期待する)のは馬鹿馬鹿しいから止めた方が良いです。何のスキルも身につかず、キャリアの市場価値が下がって放り出されるリスクがあります。

 

しかし、企業は雇用流動化の為に方策を講じるべきだ、というのはわかりません。(P36:流動化のため企業がすべき5項目)

雇用調整をしやすくする、ということであれば、制度的には日本には大きな問題はありません。解雇のしやすさで言えば日本はOECD40か国中7番目。雇用調整しないのは制度の問題ではなくて経営の問題でしょう。

 

逆に、中途採用しない、というのも経営の問題。中途を取ることが必要と思うならそうすれば良く、それでスムーズにビジネスが回る仕組みを作れば良いと思います。必要無いなら取らなければ良い。

 

 

問題は人材の活用が出来ていないこと

企業と個人では答えないとならない問いが異なります。

 

個人は「終身雇用が頼りに出来ない中、どのように生き残るか?」という問いに答えないとならない。

一方、企業が答えないとならない問いは「いかに人材の流動化を促進するか?」ではないと思います。 というのも、企業にとっての問題は、そもそも社員を食わす仕事が無くなってしまったことなのではないかと思うのです。

 

だから、人材という領域で企業が答えなければならない問いは「新しい食い扶持を創るために、いかに人材を活用するか?」なのではないかと思うのです。人材が流動化しようがしまいが関係ありません。

そして、それは、組織におけるリーダーシップの定義と制度設計の話に繋がっていくのだと思います。

 

社内には優秀な人材も居ればそうでない人材も居ます。誰もがみんなスキルアップして、全員が新しい食い扶持を作ることなんて出来ません。そういう状況を前提として、才能あふれる人の創造性を如何にして引き出しビジネスを作り出してもらうか?それをみんなでサポートする体制をどのように作るか?

 

それが今企業が答えを出すべき問いなのではないかと思います。