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ポジティブ心理学の講習に行ってきた


ポジティブ心理学って何?

 

先週末、ポジティブ心理学の2日研修を受けてきました。

 

数年前のハーバード・ビジネス・レビューで「ポジティブ心理学」の特集が組まれていたこともあり、米国ではビジネス界でも「ポジティブ心理学」は割と知られているようです。私個人は、転職前に"Strength Finder"を会社で受けていて、そういう領域があることはおぼろげながら知っていました。

 

コーチングのすべて」という参考書を読んでいた時に、ポジティブ心理学はコーチングと非常に親和性が高く、米国ではポジティブ心理学をベースとしたコーチングを行う人もいると知りました。日本でもつい最近、ポジティブ心理学をベースとしたコーチを養成するコースが開講されたということで、ちょっと覗きに行ってきました。

 

ポジティブ心理学とは何か? 

 

あまり単純化し過ぎると怒られるような気もしますが、私は下記↓のように理解をしました。(あくまで2日の講義を聞いた私の粗い理解ベース

 

ポジティブ心理学とは、
「私は何をすれば幸せになるのですか?」と問うのではなく、

「まず幸せになる。すると何をするべきかが見えてくるはず」と認識を変える。その方法論を心理学の知見から考える学問

 

「まず幸せになる」という意味が分からないと思いますが、それは要するにこういうことです。

 

 

ポジティブ心理学コーチングの要諦

 

「まず幸せになる」為のアプローチは大きく二つあります

 

 「強みにフォーカスをする」
 「フローを意識する」

 

何をする場合でも、人は自分の強みを発揮している時は幸せである、とポジティブ心理学では考えています。というか研究において実証し、固い命題として持っていると言った方が正確かもしれません。

 

この命題に立つ場合、例えば、キャリア選択に悩んでいる場合は、自分にはどんな強みがあるのかを先に考えます。何をするかを考える前にですね。そして、その強みを生かせる仕事は何なのか?を逆引きで考えます。


それからフローを意識する。フローとはミハエル・チクセントミハイという研究者が提唱した概念で、要するに極度に集中して没頭している状態のことです。この状態に入っている時人は強い幸福感を感じる、とポジティブ心理学では考えます。そして、フロー状態に入りやすい条件に人の行動を合わせて行く、というアプローチを取ります。

 

フローは組織での課題難度の設計で良く使われていますね。3年単位くらいで仕事の難易度を上げるように人事システムを組む、とか。絶えず課題に対してちょっと能力をストレッチさせないとならない状況はフローに入りやすいと考えられています。

 


私の感想とポジティブ心理学使用上の注意

 

ポジティブ心理学は、既存の心理学領域の研究成果を援用しているので実証データが豊富です。
コーチングは一般的には「海のモノとも山のモノともわからない」と思われているので、「科学的であること」を重んじる人にとっては信頼性担保のツールとして使えます。

 

一方で私は、この領域の知見とコーチングとのすり合わせは十分に出来ていない印象を持ちました。


学問なので、様々なフレームワークがあります。そこでパターン化がなされているのですが、一方で目の前に居るクライアントは1人1人異なる人です。
あまりにもパターン認識に引っ張られ過ぎると、クライアントの見落としてはいけない細部に目が行かなくなるように思います。

 

まあ、これはコンサルティングの仕事と同じですね。経営学には様々なフレームワークがあります。ただし、これはあくまで参考情報。コンサルティングでも紋切り型のフレームワーク分析はあまり価値を出さず、目の前にいるクライアントと真摯に向き合うことが価値を生み出します。

 

ポジティブ心理学は面白い領域だと思います。ただし、クライアントをより深く理解するツールとして使いこなせるようになるまで、あまり振り回さないようにした方が良いな、というのが僕の2日間の講習を受けた感想でした。