知恵の樹

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起業という生き方を考える(佐々木俊尚「起業家2.0」)

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起業家という生き方

 

起業家はなぜ起業するのか? 起業する人と起業しない人の差はいったい何なのか?

 

 

世の中の大半の人は会社に努めます。それは多くの人にとって極めて普通なことです。疑問に感じる余地もなく、学生が終わったら会社に入社し、定年まで勤め上げるものだと思っています。

 

僕もそうだと思っていました。自分で事業を興すなんてとんでもない。そんなことは選択肢として考える必要も無いし、そもそもそんな選択肢が世の中に存在するということすら忘れていました。

 

だけど、一歩止まって考えてみれば、会社組織に努めてそこで40年も働くというのは、人類の歴史の中で極めて近代的な営みでしか無いということにすぐ気づきます。

 

結婚したら専業主婦になるものだ、と思っている女性は日本にまだまだ多いと思いますが、これだって、せいぜいここ100年くらいの日本に特殊な家族構成でしかありません。専業主婦制度は極めて速いスピードで崩壊しつつあるように思いますが、会社勤めと終身雇用というキャリア制度も同様に20世紀後半の遺物なんだと思います。

 

 

何が起業家を創るのか

 本当に起業家と起業しない人の差は一体何なんでしょうか?

 

僕はそれは「あなたの人生の意味は何か?」という人生からの問いかけに何回真面目に答えようとしたのか?の差だと思います。

 

誰しも、自分が「本当に求めること」と、社会の中で生きて行く上で「こうした方が得だ」と思うことを混ぜこぜにして生きています。むしろ、「こうした方が得」という考えに寄り添って生きていた方が安心かもしれない。

 

幼少のころから、人が教えられるのは「社会の構成員としてどのようなふるまいをするべきか?」ということであって、決して「あなたは本当は何をしたいのか?」ということではありません。

 

だから「あなたの人生の意味は何か?」なんていう問いに向き合うことは全く持って慣れていないし、もしかしたらそういう問いかけの声自体が聞こえなくなっているのかもしれない。

 

 

佐々木さんのこの本は、76世代の前後の起業家を中心に、彼らがどのような生い立ちで、何を考え、どういうきっかけで起業に至ったのかをドラマチックに描いています。さすがだなとしか思えない描写力で、起業家の「思い」を炙りだしています。

 

彼らは確実に「あなたの人生の意味は何か?」という問いに答えを出したのだと思います。

 

振り返って自分はどうするのか?そんな問いを突き付けられた一冊でした。