知恵の樹

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インプロ(即興劇)ワークショップに行ってきた。

         

即興劇でコミュニケーションを学ぶ

 

インプロって知ってますか? 

 

語源は「インプロヴァイゼーション」で、要は台本の無い即興劇です。これ、観客として観ても面白いんですが、コミュニケーションの研修として使われていて、今回「インプロジャパン」のコミュニケーションコースに行ってきました。

 

元々僕はコミュニケーションの反射神経が鈍い。要するにぼーっとしているわけです。生まれつきの性格だと思いますが、トレーニングしたら反射神経は鍛えられるかもしれないという淡い期待を持って行ってきました。

 

これが予想外に面白かった。

 

 

LeaderとReader

 

今回の参加者は10名弱くらい。色々なゲームをするのですが、コミュニケーションに関する重要な気づきが体感できるようにうまくゲーム設計されています。

 

私が最初に面白いなと思ったのは、10人で協力して文字や形を作るゲーム。ファシリテーターの方が「Aという文字を作ってください」と言って、それを10人が全員の体を使って人文字を作ります。

 

丸とか×のような形だと簡単なんですが、これが漢字になると人文字を作るのはなかなか難しい。

 

このゲーム、リーダーシップのあり方を腹で納得するのにとても優れた方法です。

 

制限時間内に人文字を作るには誰かがリーダーシップを取る必要があります。例えば、「花」という漢字を作る場合は、誰かが率先して「草冠」の部分を作ることで他の人は自分が残り部分を作ればいいことがわかります。

 

そしてリーダーシップを取る人は毎回同じである必要はありません。一番最初に良いアイデアを思いついた人がリーダーシップを取って行動すれば良いのです。結果として、リーダーは課題ごとにころころと変わります。

 

これ、安田雪さんが「ルフィと白ひげ 信頼される人の条件」というリーダーシップの本で書いていた話に非常に近い。漫画「One Piece」から現代のリーダーシップのあり方を語る本なのですが、ここで安田さんは現代的なリーダーとは上の立場から下の人に指示をする人ではない、と指摘します。そうではなくて、リーダーとは向かうべき方向性を指し示す人のことで、メンバーとは並列。しかも状況に応じてリーダーは入れ替わる。戦闘だったらゾロ、航海だったらナミ、、、というようにです。

 

インプロではこれを「LeaderとReader」という概念で説明していました。すなわち、その場においてLeaderが何かを指し示し、その他に人はReaderとしてLeaderと場の意図を読み取り自分が果たすべき役割を解釈していく。

 

そして、Leaderは同じ人がやり続けるよりも、場合に応じて入れ替わっていく方が良い。多様性が生まれてくるんですね。

 

単純なゲームではありますが、これが非常に腹落ちしやすいように出来ていました。

 

 

Yes and...

 

インプロは即興劇なので話がどう展開していくかは事前に予想することは出来ません。人の輪の中に出来た「」に投げられたものを見て、それに重ねるように自分も何かを出していく。それに対して他の人がまた重ねるように何かを出してきて、、、、という積み上げが劇になって行きます。

 

これ、コミュニケーションの本質を端的に表していると思うんですよね。

 

CTIのコーアクティブ・コーチングの中に「意図的な協同関係」という大事な概念があります。コーチングの効果はコーチとクライアントが「お互いに」関係を積極的に作っていく意思を持つことで初めて現実のものとなります。クライアントにとっては、お金を払っているんだからコーチがすべてガイドしてくれるんだろう、と思いがちですが、それだとなかなか望むものは手に入りません。

 

コミュニケーションの本質は協同で作るということなんだと思います。自分の言いたいことを言うだけの独白ではなく、相手の言うことを聞くだけの受身でもなく、相手の発話に対して「Yes, and...」と言って言葉を重ねていく。その重なりがうまく出来れば、自分一人ではとても出来なかったような何かが目の前に出現します。

 

関係性からイノベーションが生まれるとでも言うのでしょうか。そんなことを体感することが出来るセッションでした。

 

私は正直演劇のセンスはまったく無いんですが、上手い・下手に関係なく、コミュニケーションスキルを磨く方法論としてインプロを学ぶのは有効なように思います。

 

なかなか面白いワークショップでした。